アルバイト　その２

今日７日は多少気温が下がっていたので午前中に散歩したのに、湿度は高いし風が無い。大汗かいたけど、青空が気持ち良く、カワウの羽ばたきや綺麗なサルスベリが見られて良かった。 のんびりしたものだが、学生時代はバタバタして、とても風景を愛でるような余裕は無かったなあ。もちろん適当に遊んではいたけど。 三鷹の大学内にある寮、カナダハウスに4年間お世話になった。奨学金とアルバイトで学費と生活費を稼ぎ、真面目に授業に出てサッカー部もやった。3,4年生の夏休みは石垣島、奄美大島に人類学のフィールドワークに行ったので発掘の土方仕事で稼いだなあ。 適当に酒も飲むし、女房と知り合ったのもこの頃。 日本育英会の特別奨学金と、ICUの長期貸与金と奨学金をいただいたので助かった。もちろん働きだしてから14年掛けて返却したから我ながら偉い。 週2日の家庭教師を2件、食事付きにして貰ったので週4日は夕食費掛からず助かった。優しいお母さんたちで、子供たちも素直で長く付き合った。まあ高校生の子は志望大学に受からず、申し訳なかったなあ。 日々のアルバイトはICU 裏門守衛。代々カナダハウス寮生が受け継いだバイトで、授業の合い間や夜間に裏門に座るんですねえ。 時給は安いけれど時間が自由になる有難いバイトだった。 学生部に川上姫子さんという、チャキチャキした可愛いお姉さんがいて、色々アルバイトを教えてくれた。都内の工場の夜警、新宿の丸井だったか、デパートでの深夜の模様替え。 中でも、精神病院の病棟 管理は異世界を知るという意味で衝撃的だった。斡旋されたのはカルテ整理という事だったのに、病院へ行くと白衣を着せられ、鍵の束を渡された。何か違うんじゃないの、と思ったけれど、まあ滅多に無い経験かもな、と思って黙って従った。 病棟のドアを開けると、ベッドが10数台。壁に向かってブツブツ言っている爺さん、ベッドに正座している人、ウロウロ歩いている人。 言われた小仕事をやったり、トイレに連れて行ったり、食堂への案内、まあ色々手助けしたけど、凶暴な人は居なかったので助かったが、途中で小便を漏らす人がいたのは参った。後で聞いたら、精神障害とアル中を同居させていたようだった。 慣れて来て、3日目くらいだったか、看護婦さんが慌ててやって来て、どうも大学生のインターンが来る予定になっていたのと私を混同したらしかった。平謝りされて、それからは本来のカルテ整理をしたけど、あの異様な世界を経験した後では、ちょっとつまらなかった。 歳を重ねて、人類学の勉強をしたり、本を読んだり、仕事をして、母の認知症介護など色んな経験をしたが、あの時の衝撃は人生で二番目くらいかな。 今の世の中や政財界を見ていると、おいおい大丈夫か、と思う事が多々あるけど、本人たちはマジでやっているんだよなあ。自分もおかしな事をしないように、女房、友人知人たちに叱咤激励してもらわなくちゃな。

今日のカワウは元気。羽根を広げて乾かしているのか。	iPhoneによるとサルスベリだそうだ。	当時はまだ新しく、歴史の浅い無茶やる寮、と言われたが、今は他の寮が新しくなって逆に伝統的と言われているらしい。4年間お世話になりました。	ICUも人類学も、そして寮生活も私の人生にとってはエポックメイキングで、感謝と愛着しか感じられない。 恥多き人生でも、生きて居ればこそ面白く、少しは世の中や家族に貢献出来たと思う。あと10年くらいは元気で面白く過ごしたいものだ。