<私のヌーベルバーグ>

「大江戸巨魂侍」 鳴海丈/廣済堂文庫/\619	図書館。元大身旗本で武に優れ性も強いうえに神君家康の許し状まで持っている主人公が、市井に乗り出す。まあ気楽に読めば良いか。
「花酔ひ」 村山由佳/文春文庫/\600	性癖の違う二組の夫婦が互いに不倫する。ねちっこく、頷かされる心理がドロドロと描かれ、引き込まれる。ただ、この結末は無いだろう、安易すぎる。絵空事はここで終わるが、現実はここからまだまだ苦しみが続くのだ。そこにきちんと文章的なケリを付けなくては。 呉服屋を通しての祖母と麻子の江戸弁の会話は心地良い。むしろこの二人を主人公にした新たなストーリーを展開した方が楽しいのではないか。
「美咲は十手持ち」 八神淳一/学研M文庫/\686	いまいち。
「処刑のライセンス新装版」 勝目梓/光文社文庫/\571	３０年前のもの。セックスとバイオレンスで、当時立ち読みしたものだが、やはりもう古臭く感じる。ハードを気取った短い文体、情緒に欠けるストーリー。もう買って読むのは無理だな。
「毒蜜　新装版」 南英男/祥伝社文庫/\743	平成八年の作品の新装版。安達瑤、浜田文人に通ずる面白さ、破天荒さが垣間見られるが、やはり古臭い。
「美臀おんな秘画」 御堂乱/フランス書院文庫/\819	いかに女をいたぶり喜ばせるかに注力しているが、なんというか、男の身勝手なエロですな。興奮はしますが、もう少しストーリーを作ればもっと面白くなるのに。
「いましめ」 睦月影郎/徳間文庫/\533	プロローグを読むとスリラーかと思うほど緊張感ある設定と文章だったが、本編が始まるとエロチックコメディだった。筆力があれば面白くなるネタなのに、いかんせん構成力と筆力に欠ける。まあそれなりに楽しいのだけれど。

<橘真児>

「桃色ハウスへいらっしゃい」 橘真児/双葉文庫/\600	会社を辞め恋人に振られた主人公が、祖父の屋敷の留守番に。そこに次々と関わってくる女たち。まあご都合主義なのだが、この作家の軽いコメディタッチは嫌いではない。
「恥じらいノスタルジー」 橘真児/祥伝社文庫/\571	翌週発売される処女小説を、母と祖母に見せようと帰郷した藤井輝正は、自宅で倒れている母を発見する。隣の姉さんやかつての同級生とのセックスシーンも楽しいが、介護、生き方、ファンタジーもちりばめていて面白い。工藤監督にこれで映画を撮って欲しいなあ。
「ヒップを狙え!」 橘真児/双葉文庫/\571	四人の女子アスリートにダイエット試験を継続する主人公。まあセックスのみでストーリー無し。コメディタッチなのだけが救い。

<矢神慎二>

「新宿わけあり美熟女」 矢神慎二/徳間文庫/\533	いまいち、処女作かな。エロとユーモアの萌芽は有るのだけれど、陰陽のキーワードが上手く昇華されないのでちょっと重苦しい。読後がスカッとしなくては。エッチ本は、エロとユーモアとスッキリ感ですよ。
「新妻DE狂騒曲」 矢神慎二/徳間文庫/\533	良いぞ良いぞ。良いんだけど、ちょっとテクニックに溺れて、エロチックに走り過ぎ。この作者は構成力があるのだから、安易にエロに走らず、プロットをきちんと書き込んで欲しい。エロはエロで楽しいのだけれど。
「情事接続マドンナ」 矢神慎二/徳間文庫/\590	エロチックコメディーというか、青春サラリーマン小説というか、面白い。麗熟女、美少女、極道との友愛、営業マンと来れば興味津々。ボケと突っ込みがあり、セックスシーンもたっぷり。ちょっと膨らませて、AVの脚本にピッタリ。売れるぞ。

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