夏の思い

夏は大好きだった。 小学校低学年の時は、倉敷の家から総社の婆さんちまで自転車で一山越えて泊まりに行っていた。川で遊び、トラックのタイヤチュープの浮き輪で川流れ。鉄橋の下まで辿り着くと鉄橋に登って飛び降りる。それを何回も繰り返す。 飽きたら山に入って虫を取ったり、紙の原料になるこうぞ、みつまたを取って来る。 何を食べたのか覚えていないけれど、畑で取れたキュウリ、ナス、トマトなんかの煮物だったか、婆さんの手料理。トイレはボットン便所で、風呂は共同の五右衛門風呂。近所のテレビのある家に子供は集まって見せてもらっていた。 鉄腕アトムなんかだったかなあ。 今考えるとモノは貧しいのだが、何の不満も無く、ぐっすり寝て毎日を過ごしていた。65年くらい前の私の生活だった。 瀬戸内海まで自転車で行き、泳いでいた。豪渓まで行って鉱山跡で水晶拾いをしていた。あの頃の親は子供など放ったらかしだった。食うための生活に忙しくて、子供に構っている余裕は無かったのだろうなあ。 中学生になると、水泳やサッカーで成績が良かったので練習、大会に忙しかった。楽しいと暑さなんて気にならなかった夏休みは器楽合奏部でコントラバスを弾き、サッカー部の練習。終わると、部室に隠していたゴンボ竿を持って自転車で高梁川へハヤ釣りに行く。 暑くなれば、川や溜池で泳いで涼をとる。一人で行ったり、友達二、三人で行ったり。 何考えていたんだろうなあ。していた事は思い出すが、考えていた事はまったく覚えていない。でも73歳の今でも、あの中学生の頃と、多分精神年齢は変わっていないんじゃないかと思う。 もちろんその後の家庭争議、勤労学生生活、就職後の業務など苦しい事は多々あった。色んな経験をし、沢山の人に支えられてここまで生きて来たけれど、頭の中身は今でも中学生だな。 軍隊に取られシベリア抑留から帰国した親父と、大阪空襲から疎開したお袋が総社で出会い、私が生まれ、73年生きた。女房と出会って家庭を築き早や50年近く。長男は心臓病から生還し、長女は孫3人を授けてくれた。 金も地位も無いし、色々トラブルも有ったが、人にも仕事にもまあ誠実に生きて来たのは自分では誇りにして良いと思う。 最近は、暑さに負けてエアコン三昧。暑いと散歩も出来ましぇん。散歩は大事だけど熱中症になったらダメでしょ、という女房が正しい。 そんな毎日を過ごしていると、たまに孫守りを頼まれると嬉しい。 孫1、2号は小学生、年中さんになってからしっかりして来て、手が掛からないから娘もこちらをあまり頼らなくなったので、寂しい。先日は3号 を預かってと言うからこちらは大喜び。彼はまだ、おじいちゃん大好き、だから女房は嫉妬するのだ。 慕ってくれるのは、あと一二年かなあ。物心付くとジジババには構っていられないのだ。 戦争後に出会った両親から生まれた私が73歳。とりあえず戦争は無く、孫達があの頃の私と同じ年頃になって来た。いつ戦争が起きるかは誰も分からないが、人類は決して賢くは無い。 自分たちを守るためには戦わざるを得なくなるが、せめて孫達が生きているいるうちは戦争よ起こるな。 異常な暑さや、オリンピック、MLBに浮かれている場合じゃ無いぞ。政治経済、官庁などの腐敗は恐ろしいレベルだ。これについても40数年の経験から言いたいことは山ほどあるが、また別の機会に。 せめて私のまわりに、正しく、清く美しく生きる日本人が増えることを願って生きていこうと思う。

3歳くらいか、全く記憶にない。	おふくろと妹。倉敷で印刷屋をやっていた。	県大会で3位になった試合。インナーの私がウィングの爲房にパス。彼は50代で亡くなった。	彼女達と瀬戸内海に泳ぎに行った。この頃は意外とモテたのだ。	彼女達も今は70代のおばあちゃん。元気でいるのだろうか。

2歳の孫3号とプラレール 。一生懸命なのが可愛い。	ベッドの上で大騒ぎ。	孫3人、時々喧嘩して泣かせるけれど仲良し。